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Saccade Mirror 3: 高速広範囲視線制御機構

 

 

 

当研究室では画面の中心に対象がくるように自動的にカメラのパン(水平)・チルト(垂直)方向を制御する技術である「1msオートパンチルト」を開発している.この技術を支える基盤的なハードウェアである高速視線制御ユニット「サッカードミラー」によってカメラの視線方向を制御することで,高速な対象を画面の中央にくるように追従することができる.既存のサッカードミラーはパン・チルト方向共に最大60度の限られた範囲でしか視線を制御できない.例えば110mの幅があるサッカーのフィールド内を動き回るボールを追跡させるためには,サッカードミラーをフィールドから約95m以上離さなければならなくなり,設置場所の制約が強く運用の利便性を欠くという問題があった. そこで,当研究室では2枚の鏡で構成された従来のサッカードミラーに鏡を1枚追加した3枚の鏡で構成された「サッカードミラー3 (Saccade Mirror 3)」を開発している.現在の試作システムはパン方向に260度以上の視線制御範囲を持ち,従来のサッカードミラーよりも広範囲の視線制御が可能である.これにより既存のサッカードミラーが持つ問題を根本的に解決することができる.図1に試作システムの外観写真を示す.また,ドローンを追跡させた時の様子を図2に示す.この図は,ドローンを「Saccade Mirror 3」の周りに弧を描くように飛ばした時の様子と,高速カメラで1000fpsの高速撮影をしたものを画像として示したものであり,180度を越える範囲でドローンを追跡できていることがわかる.また,システムの目の前を通過するラリー中の卓球の球の追跡にも成功しており,高速な運動対象にも追従可能な性能を持つことが実証されている.これらの結果をまとめたものを動画に示す.

以上より,本システムは,従来のサッカードミラーでは不可能であった広範囲における対象の追跡を,高速性を損なうことなく可能にすることが示された.

動画 サッカードミラー3を1msオートパンチルトに適用した結果の動画.卓球台の上からラリー中の卓球をトラッキングした結果と,周囲を飛行するドローンをトラッキングした結果を示す.

図1 サッカードミラー3試作品の写真.M1, M2, M3は3枚の回転鏡を示す.

図2 試作システムの周囲を飛行するドローンをトラッキングした結果.ドローンの軌跡(白矢印)と,各位置で観測されたドローンのトラッキング画像が示されており,約190度に渡ってトラッキングに成功した.

参考文献

  • 奥寛雅,飯田和久 : 3枚の回転鏡による高速・広範囲視線制御機構の試作,第33回日本ロボット学会学術講演会 (RSJ2015)(東京電機大学,東京,2015.9.3)/講演論文集,1H1-03

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